
消化器内科
消化器内科
こんにちは。
日常生活の中で、「なんとなく胃の調子が悪い」「お腹が張る」「便がいつもと違う」といった症状を感じることはありませんか?
多くの方が「そのうち治るだろう」と思い、つい様子を見てしまうものですが、こうしたサインの中には、消化器の病気が隠れていることがあります。
消化器内科では、胃や腸、肝臓、すい臓、胆のうなど、食べたものが体に吸収されていく流れ全体を診ています。今回は、よく見られる消化器疾患について、それぞれの特徴と注意点をわかりやすくお話ししながら、なぜ早期発見が大切なのか、そして内視鏡検査がどのように役立つのかをご説明いたします。
まずは「胃炎」「食道炎」について。これは非常に多くの方に見られる疾患で、原因はストレス、食生活の乱れ、ピロリ菌感染、逆流性食道炎など多岐にわたります。
胃の痛み、胸やけ、みぞおちの不快感などの症状がある場合、それは胃や食道に炎症が起きているサインかもしれません。特に、慢性的な炎症を放っておくと、胃粘膜の変化が進行して、がんのリスクにつながることもあります。
気になる症状が続く場合は、一度しっかりと調べることをおすすめします。
胃の内視鏡検査でよく見つかるもののひとつが「胃ポリープ」です。多くは良性で経過観察となることが多いのですが、中にはがんの前段階といえる「腺腫」というタイプも存在します。
見た目だけでは良性か悪性か判断がつかない場合もあり、ポリープの大きさや形、数などを確認したうえで、必要に応じて生検(組織の一部を取って調べること)を行います。
「何も症状がないのに、ポリープなんてあるの?」と驚かれる方もいらっしゃいますが、だからこそ定期的な検査が大切なのです。
次に「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」についてです。
これらは、胃酸やストレス、ピロリ菌、薬の副作用などによって粘膜が傷つき、深くえぐれたような状態になってしまう病気です。
空腹時の胃痛、食後の重苦しさ、黒っぽい便(出血のサイン)などが見られたら要注意。放置すると、潰瘍が深くなり、出血や穿孔(穴が開くこと)を引き起こす危険もあります。
内視鏡検査で正確な診断を行い、適切な治療を早めに始めることが重要です。
急な下痢、腹痛、発熱…。こうした症状の多くは「感染性腸炎」によるものです。細菌やウイルスによって引き起こされることが多く、多くは自然に回復しますが、高齢者や基礎疾患のある方では重症化することもあります。
また、似た症状を起こす疾患に「虚血性腸炎」があります。これは一時的に腸への血流が悪くなって腸に炎症が起きるもので、中高年の女性に比較的多いとされます。
血便を伴うこともあり、「ただの下痢」と思っていたら、実は別の病気だったというケースも。必要に応じて内視鏡で状態を確認することがあります。
胃ポリープと同様に、大腸ポリープも早期発見・早期治療が大切です。
大腸ポリープは、多くの場合無症状で、検診や人間ドックで偶然見つかることが多いですが、中にはがんに進行する性質を持ったものもあります。
大腸カメラで発見し、その場で切除することで大腸がんの予防につながります。実際に、「検査で見つけたポリープを取ってもらって安心した」という方も多くいらっしゃいます。
「便潜血検査で陽性だった」という方は、必ず大腸内視鏡検査を受けていただきたいです。
「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」は、炎症性腸疾患と呼ばれる慢性の病気で、どちらも厚生労働省の難病に指定されています。
下痢や血便、腹痛といった症状が続くことが特徴で、若年層に発症することも多いため、「ただのストレスかな」と見過ごされがちです。
これらは完治が難しい病気ではありますが、早期に発見して治療を始めることで、症状のコントロールや再燃予防が十分に可能です。内視鏡検査による診断が大きな鍵を握ります。
消化器の臓器にできるがんには、胃がん、大腸がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、胆のうがんなどがあります。
これらは進行するまで自覚症状が乏しく、「気づいたときには進行していた」というケースが少なくありません。特に膵臓がんや胆のうがんなどは、早期発見が非常に難しいと言われています。
ですが、胃がんや大腸がんは、内視鏡検査で早期に見つけることができ、治療によって完治を目指すことも可能です。「自覚症状がないからこそ、定期的な検査を」というのが、がん予防の第一歩です。
「肝炎」と聞くと、B型やC型のウイルス性肝炎を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、最近では脂肪肝を原因とする「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」も増えています。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、異常があっても症状が出にくいのが特徴です。しかし、放置すると肝硬変や肝臓がんに進行することもあるため、採血や画像検査での定期チェックが大切です。
すい臓に水ぶくれのような嚢胞(のうほう)が見つかることがあります。ほとんどは良性ですが、中にはがん化のリスクを持つタイプも存在します。
すい臓は体の奥にあるため、症状が出たときには進行していることが多く、検診やCTなどで偶然見つかる膵嚢胞は、まさに早期発見のチャンスといえます。
定期的な経過観察や、必要に応じて精密検査(内視鏡的超音波検査など)を行うことで、リスク管理が可能です。
胆石は、脂っこい食事や体質、ホルモンの影響などによって胆のうの中に結石ができる病気です。急性胆のう炎を引き起こすことがあり、激しい右上腹部の痛みを伴うこともあります。
また、胆のうポリープもよく見られる疾患のひとつです。多くは良性ですが、大きさが1cmを超えるとがんのリスクがあるとされ、慎重な経過観察が求められます。
エコー検査や内視鏡的な観察が、正確な診断には欠かせません。
これまでご紹介したように、消化器の病気の多くは「初期には症状がない」「気づいたときには進行している」という共通点があります。
そんな中で、私たち医師が診断のために最も信頼を寄せる検査のひとつが内視鏡検査です。
胃カメラや大腸カメラは、直接臓器の中を見ることができ、異常をその場で確認・処置することも可能です。「つらそう」「怖い」と思われる方もいらっしゃいますが、最近では鎮静剤を使ってほとんど苦痛なく受けていただける体制が整っています。
消化器疾患は、体の中で静かに進行していくものが多いからこそ、「ちょっとした違和感」を大切にすることが何よりも重要です。
「検査を受けたことで安心できた」「早く見つかってよかった」
そんな声を、私たちはたくさんいただいています。
あなたの健康を守るために、ぜひ一度、内視鏡検査を受けてみませんか?
不安や疑問があれば、どうぞ気軽にご相談ください。私たちは、あなたにとって最も安心できる方法でサポートいたします。
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